ドラマ『秘密』第8話考察&感想。板垣李光人&中島裕翔の関係性が儚くも美しい…想像を遥かに超える残酷な結末とは?【ネタバレ】
板垣李光人&中島裕翔がW主演のドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)が放送開始中。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”が、死者の生前の記憶を映像化する特殊技術で難事件に挑む。今回は、第8話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:ばやし】
ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。
首謀者・淡路真人(伊武雅刀)の狂気
怒涛の展開を迎えた「千堂咲誘拐事件」。第8話に突入してもなお、物語全体には緊迫した空気が張り詰めていた。
病室のベッドに横たわる誘拐事件の首謀者・淡路真人(伊武雅刀)が対峙するのは、20年前の集団拉致事件で人命よりも国交を優先して、娘を見殺しにした千堂外務大臣(生瀬勝久)。
岡部(高橋努)たちが成り行きを見守るなか、しばらくふたりの睨み合いが続くかと思われたが、千堂は潔く土下座して20年前の決断を侘びる。大臣の職を退く覚悟だと告げるほど、千堂が娘を思う気持ちは本当だった。このときはまだ。
しかし、淡路は千堂の頼みを一蹴する。彼にはわかっていた。千堂が20年前の決断を何ひとつ悔いていないことを。そして、たった今、似たような状況が起こっても、まったく同じ決断をするだろうことも。
そこまで千堂の心理状態を熟知してもなお、淡路は彼に自らの命を断たせようと挑発を続ける。生きている千堂の娘・咲(葵うたの)に会うための唯一の手がかりが、自身の脳に秘められていると知っているからだ。
この時点で、淡路の狂気的とも言える行動に恐ろしさを抱いた視聴者も多いかもしれない。しかし、彼の千堂に対する憎しみは、その想像を遥かに超える代物だった。