大河ドラマ『べらぼう』第11話考察&感想。安達祐実の説得力が凄すぎる…役者が遊郭への出入りを禁じられた理由とは?【ネタバレ】
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第11話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
吉原の恒例行事「俄(にわか)」で客呼びを
蔦重(横浜流星)が手がけた錦絵本「青楼美人合姿鏡」は瀬川(小芝風花)最後の花魁道中に集まった見物客からは大評判だったが、後が続かなかった。
普段は見られない女郎たちの日常風景を描いた絵本なんて、貴重なのになぜ?と疑問に思う人もいるだろう。現代でいう芸能人のオフショット写真のようなものだとしたら、バンバン売れても良さそうだ。
だが、よく考えてみれば、出羽国久保田藩の藩士・平沢常富(尾美としのり)のように“推し”=志津山(東野絢香)がいるならまだしも、そうじゃない人はわざわざ買おうとは思わないのかもしれない。
勝川春章(前野朋哉)と北尾重政(橋本淳)という売れっ子絵師を2人も起用した上に、多色刷りの豪華仕様となれば、相当値も張る。鶴屋(風間俊介)が「これは売れない」と判断したのも、そういう理由からだった。
そんな中、江戸城から兼ねてより意次(渡辺謙)らが準備を進めていた日光社参が出立。第8代将軍・徳川吉宗公以来、48年ぶりの挙行ということで、その長い行列を一目見ようと見物客が押し寄せた。
その盛り上がりを見た大文字屋(伊藤淳史)は吉原の恒例行事「俄(にわか)」で客を呼び寄せることを思いつく。俄とは、女芸者や太鼓持ちの幇間が踊ったり芝居の真似事をしながら仲之町の大通りを練り歩くパレードのようなもの。それを老若男女が楽しめるものにしたら吉原のイメージも変わり、且つ蔦重の本も売れるのではという算段だ。