瀬川改め瀬以(小芝風花)との再会
初代・富本豊前掾の息子であり、もうすぐ二代目を継ぐという噂もあった午之助。しかし、初代は既に亡くなっており、後ろ盾がないことに加え、他の流派から圧力がかかり、襲名は保留の状態となっていた。そこで、大文字屋は午之助を説得する土産として、浄瑠璃の元締めである鳥山検校(市原隼人)に襲名の許しをもらおうと考える。
しかし、鳥山検校は瀬川の夫。最初は気が進まなかった蔦重だが、鳥山の屋敷を訪れ、瀬川改め瀬以と再会を果たす。
明らかに弾んでいる瀬以の声を聞き、鳥山は彼女にとって蔦重が特別な存在であることに気づいたのだろう。声色は穏やかだが、全身から不機嫌なオーラを滲ませる鳥山と、その顔色を伺う瀬以。そんな様子を見た蔦重はさっと引くのだった。
もう後がない蔦重にヒントを与えたのは、かをり(稲垣来泉)の言葉。「わっちは籠の鳥。まことの芝居など見たことありんせん。主さん、いつかわっちの手を取り芝居町へ」と迫られた蔦重はあることを思いつき、後日、午之助と門之助を吉原に呼び寄せる。
そこで吉原を代表し、過去の無礼を詫びた蔦重。そして2人をとびきりもてなした後、蔦重は女郎たちに富本を聞かせてやってほしいと午之助に頼むのだ。
午之助の歌声に、女郎たちはみな涙を流す。若くして吉原に売られ、世間を知らずに育った遊女たち。借金を返すまでは恋をすることも芝居を見ることも叶わない。
午之助はそんな彼女たちの境遇に同情すると同時に、その純粋でまっすぐな反応に心を打たれたのではないだろうか。「吉原には太夫のお声を聞きたい女郎が千も二千もおります。救われる女がおります。どうか、女郎たちのためにも、祭りでその声を響かせてはくれませんか」という蔦重の申し出を受け入れるのだった。