大事なビジネスを奪われてしまった鱗形屋(片岡愛之助)
さらには、そこに午之助の「豊前太夫」襲名を認めるという手紙が届く。一度は嫉妬心から蔦重の要求を突っぱねた鳥山だが、瀬以の心をつなぎとめるためにもここは自分が大人になろうと考えたのではないだろうか。
その結果、蔦重は午之助に祭りへの参加に加え、富本節の直伝を耕書堂から出版する約束を取り付ける。直伝とは浄瑠璃の台本のことで、午之助が豊前太夫を襲名した暁には鱗形屋(片岡愛之助)が自分のところから出そうとしていたものだった。
「あやつに任せれば、市中に売り広めができなくなるのですよ!」と午之助に訴えた鱗形屋だが、「だったら、なおさらあいつを助けてやりてぇ」と言われてしまう。こうして大事なビジネスを蔦重に奪われてしまった鱗形屋。
今回に関しては何もズルをしたわけではなく、一生懸命、午之助との関係づくりに努めていただけに不憫な気も。
そんな鱗形屋の心を救ったのは、倉橋格/恋川春町(岡山天音)だ。恋川は駿河小島藩に仕える武士でありながら戯作者で、挿絵も文章も書ける才能の持ち主。鱗形屋から出版され、大ヒットした「金々先生栄花夢」の作者でもある。
共犯者だった小島藩の家老から裏切られ、偽版の罪で捕まった鱗形屋。恋川はそのことを駿河小島藩に仕える者として申し訳なく思っており、鱗形屋を懇意にしてくれていた。
「当家の家老はそなたにまことにひどいことをした。それを忘れるなど、男のすることではない」と鱗形屋に詫びる恋川。一つチャンスを逃したばかりの鱗形屋の身にはその言葉がより心に染みるのではないだろうか。
まさに捨てる神あれば拾う神あり。何度も「すいやせん」と言いながら、涙をこらえる鱗形屋の姿はやはり憎めない。恋川の善意に触れたことで、鱗形屋が改心し、蔦重と正々堂々と戦うライバルになってくれることを願う。
(文・苫とり子)
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