すべては「泣いた赤鬼」作戦だった
黒岩は、よく見かけるタイプの政治家。声が大きく、義理人情を大事にしている。一平は、選挙をにぎやかしに来た得体の知れないタイプ。どちらもなんとなく現実世界でもいそうだ。が、一番まともそうに見える真壁タイプの政治家を見たことがない。
「一番好きな自分でいられる町」をスローガンに掲げ、住民に寄り添うようにして言葉を紡いでいく真壁。こういう政治家が本当にいたら、投票しようかな、という気持ちになるし、変えてくれるかも、と少し期待してしまう。
しかし、この勢力図の書き換えは、一平と真壁が企んだことだった。一平は真壁を区長にするために「ピエロ」になった。さんざん嫌われ者になって、ついでに黒岩の評判もこき下ろして、真壁を押し上げる。
SNSでは一平を「日本一の最低男」と揶揄するタグも。これは「泣いた赤鬼」作戦だ。一平は青鬼。赤鬼である真壁を応援するために、嫌われて町から姿を消そう。そう思っていたが…。
「泣いた赤鬼」と違うのは、青鬼である一平の本音を大切な人たちが知っているということ。正助(志尊淳)は一平の帰る場所を作り、ひまり(増田梨沙)と朝陽(千葉惣二朗)は一平の最後の演説を優しく見守る。
一平が全力で向き合ってきた住民たちはみんな、分かっている。一平は、友だちのために「日本一の最低男」になろうとした最高の男だということを。
ドラマを観ながら、青鬼も強がりながら、心の中で泣き、それでも親友の幸せを喜んでいたのだろうか、と考えた。でも、親友が泣いているのなら、自分が幸せになったって悲しいんだよなあ、赤鬼だって。真壁だって本当はやりたくない作戦だったに違いない。でも、長谷川たちに勝つには最善の方法だった。
そして、どうして一平がここまでするのか。全ては子どもたちのため。「町の未来はあいつらの未来」「自分が好きでいられる未来を渡したい」。やっぱり一平は最高だった。