『アイシー〜瞬間記憶捜査・柊班〜』第9話考察&感想。波瑠”氷月”の涙が全てを物語る…作品の”良心”と言うべき存在は?【ネタバレ】
text by ばやし
波瑠主演のドラマ『アイシー〜瞬間記憶捜査・柊班〜』(フジテレビ系)が現在放送中。一度見た光景を写真のように記憶できる瞬間記憶能力・“カメラアイ”を持つ女性刑事・氷月が、その能力を活かしながら様々な難事件に立ち向かう。今回は、第9話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:ばやし】
ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。
お互いを想い合うからこそ起きるすれ違い
氷月(波瑠)の妹・陽菜(加藤菜津)が隠していた手帳。そこには、かつて母親を殺して逮捕されていた父親の出所日が書かれていた。
実は、陽菜は氷月に黙って父親と面会しており、数少ない肉親を放っておけずに連絡を取っていた。しかし、彼女が父親にかける温情を目の当たりにして、氷月はもう父親とは会わないようにと説得する。
陽菜は氷月の主張が受け入れられずに反発してしまうが、そこには姉妹がお互いを想い合うからこそ起きるすれ違いがあった。
見ていた光景すべてを覚えているからこそ、妹には両親に起きた出来事を忘れてほしいと願う氷月に対して、陽菜は姉がトラウマを忘れることができず苦しんでいるのにもかかわらず、自分の記憶だけが薄れていくことに罪悪感を感じていた。
ともに思い出を振り返ることは、コミュニケーション方法のひとつでもある。氷月と陽菜が記憶を共有することなく、互いに過去の事件を遠ざけていたことが、彼女たちの間に隔たりを生む原因になってしまったのかもしれない。