「自己責任」で片づけようとする
現代の歪さを顕在化させた『日本一の最低男』
政治が我々の日常と密接にあることを、ホームドラマとして表現したことも特筆すべき点だ。ドラマで社会問題を扱うことはけして珍しくないが、例えば都市開発を取り上げた際、住民VSゼネコンの対立構造になりやすい。確実に政治の存在はその背景にあるはずだが、あまりハッキリとは描かれない。
同性婚や学童保育不足、都市開発など、日常生活に存在するさまざまな壁が登場したが、それらの壁を作っている要因が政治であることまで、視聴者に伝わるように丁寧に描かれている。
最終回、真壁は「区民のみなさんが区長を選べるんです」「誰を区長に選ぶか。それってみなさんの生活を、人生を選ぶってことです」と住民に語り掛ける。正直、選挙期間中に限らず何度も耳にする、耳だこのセリフだ。
普段なら「はいはい」と流してしまいそうなセリフが耳にスーっと入ってきたのは、本作が一貫して「日常生活と政治がいかに直結しているのか」を描いてきたからに他ならない。
また、ホームドラマを軸としたことで、登場人物に感情移入しやすく、彼らの葛藤を自分事として捉えやすいことも大きな利点。それでいて昔懐かしいホームドラマ特有の温かい空気感が流れているため、肩ひじ張らずに気軽に政治について考えられたように思う。
壁に直面して問題提起しても、自己責任と片付けられ、自助での対処を求められやすい現代社会。そういった今の歪さを顕在化させ「選挙に行きたい」と前向きに思わせてくれた上で、気軽に楽しめる作品だった。
(文:望月悠木)
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