『アンサンブル』は“毒親から脱皮をする2人の物語”

『アンサンブル』第7話©日本テレビ
『アンサンブル』第7話©日本テレビ

 SNS上でもたくさん指摘をされていたが、『アンサンブル』はもともとの趣旨から大きくズレていたように感じる部分も多かった。まず、「法廷から始まるリーガルラブストーリー」と謳っておきながら、法廷で戦うシーンが登場したのはたった4回のみ(しかも、時間もかなり短かった)。

 また、「元恋人が現れたり、家族や同僚からの邪魔があったりと、トラブル満載で…」と書かれていたが、同僚からの邪魔はまったくなかったというか、むしろ協力的すぎるくらいだったと思う。
 
 今期、ほかにリーガルドラマが放送されていなかったため、「この冬いちばんのリーガルラブストーリー」というのは間違いないが、放送前からリーガル推しをしていたことを考えると、リーガル色が薄すぎた。

 そして、真戸原のキャラクターが「自己肯定感が高く、ポジティブな行動派である」と書かれていたのに、正反対の方向に進んでいたのもちょっぴり謎である。せめて、「しかし、実は裏で抱えている闇があって…」みたいな一文が入っていたら良かったのになぁと思ってしまう。

 
 しかし、本作が“毒親から脱皮をする2人の物語”だと考えると、すごく良くできたストーリーだったなと思う。これは個人的な考えだが、毒親には大きく分けて2つのパターンがある。

 ひとつ目は、真戸原の母・ケイのように育児放棄をしたり、虐待をしていたり、どこからどう見ても毒親なタイプ。そして、もうひとつは瀬奈の母・祥子(瀬戸朝香)のような過干渉な毒親。このタイプは、愛情と時間をたっぷり注いできたからこそ、子どもが巣立ってしまうのが寂しくて、自立を妨げることある。

1 2 3 4
error: Content is protected !!