お互いの母親を足して割れば、良い母親だったかも?
ケイの場合は、真戸原のようにスパッと関係を断つこともできるだろう(真戸原は手紙を送り続けていたが…)。しかし、祥子のようなタイプだと、「お母さんは、すべてを捧げてくれたんだから、憎んではいけない」と子どもが罪悪感を抱いてしまうのだ。
最終的に瀬奈が、祥子の推しである宇井(田中圭)ではなく、真戸原を選んだことは、毒親からの卒業の儀式のように思えた。祥子も、瀬奈を愛していないわけではないので、「瀬奈ちゃんの気持ち、ずっと押し付けていたんだね」とちゃんと自分の過ちを認めることができたし、瀬奈も「こっちこそ心配かけてごめん。たくさん愛してくれてありがとう」と感謝を伝えられた。
愛情は、大きすぎても少なすぎても子どもを苦しめてしまう。真戸原と瀬奈は、毒親持ちという点では共通しているが、タイプが正反対なのが面白い。息子を愛せなかったケイと、「瀬奈ちゃんとずっと一緒にいたい」と娘を溺愛していた祥子。2人を足して2で割れば、ちょうどいい母親になれたんじゃないかな? と思う。