『御上先生』のシリーズ化に期待
また、作品の中では黒幕とされる古代理事長のキャラクター造形は最後まで魅力的だった。物語の中で悪さをしてはいるのだが、画面の中で明確にそれが映し出されることはなかった。
むしろ生徒に勉強を教えたり、教育への高い理想を語っていたり、教育者としてこうであるべきという信念をしっかりと持っている人だったと感じる。だが、そういう人こそ「理想を語っているうちに自分を騙せてしまう」のかもしれない。
私利私欲のために甘い蜜を吸ってきたわけではないが、その裏で罪なき子供たちを犠牲にしている。おそらくそこに罪悪感はないのだろう。いい面も悪い面も全くの矛盾なく共存しているキャラクターは、この世界のどこにでもいて、それもさほど珍しい存在ではないんだろうと思わせてくれる。
それぞれの問題を乗り越えて、1年で大きく成長した3年2組。第1話では御上は生徒に向けて「君たちが考えているエリートはただの上級国民予備軍だ」と突きつけた。しかし、今となっては御上のかわいい教え子たちがそんなエリートにはならないと確信できる。
苦しみながら、そして考え続けて得た質問の答えはきっと弱者にも寄り添うことができる。その過程が当たり前であると生徒たちに気づかせた御上は、真の意味で教育改革の第一步を踏み出した。
この先日曜の夜に、御上が生徒たちに考えることを促し、「そうだね」という言葉が聞けなくなってしまうことは残念でならない。しかし、御上の同期である槙野(岡田将生)が教職課程を取ったようだ。もしかすると、令和の学園教師モノとして、『御上先生』のシリーズ化もあるのではないか。そんな期待も膨らむ鮮やかなラストとなっていた。
(文・まっつ)
【関連記事】
【写真】松坂桃李が打ち立てた新たな理想の教師像…貴重な未公開写真はこちら。『御上先生』劇中カット一覧
『御上先生』考察。岡田将生”槙野”の合流で役者は揃った…第9話で描かれた家族の描き方の愛しさとは? 感想レビュー【ネタバレ】
『御上先生』考察。高橋恭平”謎の男”の正体がついに判明…ラスト2話で見逃せないポイントとは? 第8話レビュー【ネタバレ】
【了】