押し付けがましくない優しさがこのドラマそのもの
優太が疲れて家に帰ると、ドアノブに耕助からの差し入れの袋がかかっていた。そこには入っていたのは、さりげないメッセージと優太が食べたがっていたロールキャベツ。
そんな耕助の押し付けがましくない優しさが、このドラマの雰囲気そのもののように感じた。自分の体調を気遣ってくれたり、何気ない言葉を覚えていてくれたりする人がいる。それだけで人は救われるものだし、自分も自分を大事にしようと思えるものだ。
タッパーを抱えて耕助の家を訪れた優太は温め直してもらったロールキャベツを食べながら、涙が止まらなかった。耕助も葵も、驚きつつもそれを揶揄ったりしない。何かと忙しくて競争を強いられる社会だけれど、「いいじゃん、弱くても」という耕助の台詞を心に刻んでおきたい。
男性も女性も泣いていい、弱音を吐いたっていい、頑張れない時があっていい。そんな一貫したメッセージを届けてきた本作。その着地点が、優太の休職になるのではないだろうか。
休むのは簡単なようで難しい。色んなしがらみがある中で、優太がその選択を選び取れるのかどうか。最後まで見守り続けたい。
(文・苫とり子)
水ドラ25「晩餐ブルース」
テレ東ほか 毎週水曜 深夜1:00~深夜1:30
各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」「TELASA」「J:COM STREAM」「milplus」「Prime Video」 にて順次見放題配信
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