最終回への大きな伏線

『119 エマージェンシーコール』第10話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第10話 ©フジテレビ

 兼下の機転は、放火犯と接触したときにも光った。犯人は潮見ではなく、遊びで放火を行っていた長谷川(石川雷蔵)という男。

 兼下は長谷川と対峙したとき、自分のスマートフォンを119番に繋いだままにして、彼のバッグのなかに入れた。GPS機能はないが、兼下の電話の音を聞いている雪なら、犯人の手掛かりを掴める、と。雪の“耳”の良さに、すべてをベットする大博打を打った。

 雪と兼下の遠隔の連係プレーにより、長谷川は無事逮捕される。雪の能力が、いつも以上に活かされた回でもあった。兼下の刑事顔負けの判断力には、ただただ脱帽するばかり。

 今回の一連の放火事件で、兼下の気持ちはSRへの異動へ少し傾いたのではないかと思う。また、潮見との関係性が戻り、彼に背中を押されたことで、より一層現場への想いも強まっていそうだ。

 一件落着…といきたいところだが、兼下より前に電話をしてきた女性の通報は、虚偽であることが分かった。おそらく、本当の火事現場への消防車の出動を遅らせるためである。

 加えて、雪が放火犯に狙われそうな空き家を周っているときにすれ違った男。これはのちに犯人の長谷川だったと判明するが、彼の電話の相手が共犯者である可能性が出てきた。

 ここにきて、ぐっと濃くなったミステリー要素。堂島(佐藤浩市)が復帰直後にとった犯行予告とも捉えられる攻撃的な電話は、次回への大きな伏線となった。次週はいよいよ最終話。最後まで、指令管制員たちの勇姿をしかと見届けたい。

(文・西本沙織)

【関連記事】
【写真】119番にお世話になる日が来た時のために…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『119 エマージェンシーコール』劇中カット一覧
『119 エマージェンシーコール』第9話考察&感想レビュー。思わず、涙がほろり…瀬戸康史”兼下”の胸アツシーンとは? 【ネタバレ】
『119 エマージェンシーコール』第8話考察。清野菜名&佐藤浩市のやり取りに心震えたワケ。公式Xに見る本作の真摯さとは?【ネタバレ】

【了】

1 2 3
error: Content is protected !!