貝沼事件の捜査員、唯一の生存者・瀧本(眞島秀和)

『秘密~THE TOP SECRET~』第9話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第9話©カンテレ

 車に仕掛けられた爆弾は、明らかに薪を狙った犯行だった。MRI映像のサーバーへの侵入も含めて、第九に保管された“過去の記憶”を始末しようと暗躍する存在が浮かび上がる。

 第九の背後に迫る不穏な影に対して、薪には思い当たる人物がいた。その人物こそ、第九の創設メンバーに抜擢されながらも、貝沼事件で精神に異常をきたして入院していた瀧本幹生(眞島秀和)だった。

 貝沼事件を捜査していた4人のうち、唯一、生存している捜査員に疑いの目がいくのも無理はない。また、あの眞島秀和が演じている瀧本の存在を、第1話での登場時から不審に思っていた視聴者も多いのではないだろうか。

 瀧本の行方はもちろんのこと、長官命令で派遣されたSPの過剰な警護に対しても苛立ちを隠せない薪。とは言っても、第九の捜査員のなかで唯一、薪だけが知るレベル5の機密情報は、何としてでも守り抜かなければならない秘密だ。警察組織の対応も理解はできる。

 そんな薪の状況を見かねて、青木はレベル5の秘密を第九全体で共有するべきだと主張するが、薪はその提案を一蹴。

 秘密を知ることによって、命を狙われるほど危険な目に遭うことがある。眠れない恐怖と重すぎる責任を誰よりも実感して生きる薪にとって、青木の進言は受け入れがたいものだった。第九の面々だけでなく、雪子や周囲の人間にも危険が及ぶ可能性まで、薪は常に考えている。

 板垣李光人の芝居の凄みをひしひしと感じるのは、表情の変化を目の当たりにしたときだ。視線の先にある光景が今まさに移り変わっていると実感できるほど、目や口元がはっきりと滑らかに変わっていく。漫画的な表現でも違和感なく映像に反映されているのは、板垣の演技があってこそだろう。

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