薪と青木を待ち受ける過酷な運命
青木の携帯に届いた姉からの着信。シャワーの音だけが不気味に響く浴室から、血の跡をたどっていくカメラワーク。最後のカットで携帯の画面に表示された「一行」からの着信を目にしたときの、あの絶望感が忘れられない。
お願いだから、青木の姉夫婦の家ではありませんように。不謹慎だとしてもそう祈ってしまうほど、さっきまで確かに存在していた幸せな家族の風景が脳裏に焼きついていた。
しかし、かすかに残る希望は打ち砕かれて、姉夫婦の家を訪れた青木は家族を襲った悲劇を目の当たりにする。電話を通して「薪さん…」と震える声で呟く青木の心情が、中島裕翔の迫真の演技によって、観ている人の心にも流れ込んでくる。
「薪さんのいる世界は、まだ狂っていないんですね」と絞り出し、信じがたい現実が目の前にあっても、薪が生きていることに安堵する青木。爆弾騒ぎの際は、心配して息を切らして走ってくる青木に「急がなくていい。待ってるから」と笑いかける薪。
どんな状態であっても互いを気遣いあうふたりの気丈な姿を、ただ見守ることしかできないのが歯がゆかった。
物語はいよいよ最終章へ突入する。急遽、第九に復帰することになった瀧本だけでなく、意味深にテレビで流れていたクオリア教会の新代表のニュースなど、まだ明らかにされていない謎が物語にはちりばめられている。
薪と青木を待ち受ける過酷な運命から、今は目が離せない。
(文・ばやし)
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