岡田惠和が紡ぐ名言の数々
ヒロインの圧倒的な存在と対するように、もう1人の主人公は真面目な公務員の長倉和平(中井貴一)。両親を若い頃に亡くして、妹と弟たちの親代わりとして生きていた。結婚後、事故で妻を亡くし、小学校高学年の娘を持つ、50歳の独身だ。ふだんは誠実そうな雰囲気を見せているのに、内弁慶なのか家族の前では小うるさい。でも沁みることを言ってくれる、優しいおじさんなのである。作品内でも小出しに名言が多い。
「お誕生日をやるようなめでたい年じゃないんです(中略)むしろ逆で、年を取れば取るほど、めでたいことなんです。すばらしいことなんです。23歳の誕生日より、(千明の)46歳の誕生日の方が倍、いや、それ以上にすばらしいことで、めでたいことだって思いません?」
和平の洞察力が繊細なのか、周囲にかける言葉に視聴者たちも励まされることも多い。かと思えば丁々発止で千明とやりあうこともしばしば。脚本家・岡田惠和の紡ぎ出す言葉を役者ふたりは、きっちりと消化しているようだ。この様子もドラマの見ものである。
他にもバラエティー豊かな登場人物たちが多く登場する『最後から二番目の恋』。ただまずは主人公のふたりをじっくりとどうぞ。それだけでも観る側に伝わるものがあるはずだ。異動、移動の重なる4月は憂鬱になることも多いけれど、このふたりが生み出す世界観が「ま、いっか」と思わせてくれるはずだ。
※『最後から二番目の恋』はTVerにて一部無料配信、FODにて配信。またフジテレビにて再放送
(文・小林久乃)
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