祭りを楽しむ気持ちに貴賎はない
その光景に重なる「我と人と譲りなく、人と我との隔てなく、俄の文字が調いはべり」という平沢が書いた序文が胸に染み入った。厳格な身分制度によって、人と人とが分けられたこの時代。
身分の低い者は差別され、吉原で生きる人間もその対象だった。けれど、その吉原で行われた祭りが、人と人との間にある、あらゆる壁を取っ払っていく。
前回、りつ(安達祐実)が「ひんむきゃ、みんな人なんて同じ」と言っていたように、祭りを楽しむ気持ちに貴賎はないのだ。
そんな祭りの不思議な力が、一度は離れ離れになったうつせみ(小野花梨)と新之助(井之脇海)を再び繋げる。新之助も祭りに来るのではないかと密かに期待していたうつせみ。
その期待通り、最終日に新之助の姿を見かけたうつせみの背中を押したのが、同じく松葉屋の女郎である松の井(久保田紗友)だ。「祭に神隠しはつきものでござんす。お幸せに」と、自分の笠を手渡した松の井。その笠を使って顔を隠しながら、うつせみと新之助は大門を出ていく。
松の井の粋な計らいに胸が熱くなると同時に、心配になるのは2人の行方。以前、松葉屋の女将・いね(水野美紀)が言っていたように、足抜けに成功したとしても幸せになれるとは限らない。
これからは追われる身であり、色々な苦労が2人を待ち受けていることだろう。それでも、心から互いを想い合っている2人なら、どんな困難をも乗り越えて幸せになれると信じたい。
この平和な祭りも一炊の夢のごとく目覚めれば終わる。それでも今はこの幸せな夢に浸っていたいのだ。
(文・苫とり子)
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