原作とは違うドラマオリジナルの展開も
一方で、事件に至るまでのプロセスや京子が抱えている深い闇については簡略化されている。その分、本作が重きを置いて描いていたのが「父と子」の物語だ。
第一発見者である遠藤力郎(酒向芳)から通報を受け、いち早く現場に駆けつけた春生が泣いている歌を2階のベビーベッドに移動させる展開はドラマオリジナル。
おそらくこれは春生の“父性”を強調するためだろう。しかし、そのせいで赤ちゃんの鳴き声が1階で聞こえたという力郎の証言は虚偽とされ、冤罪で死刑判決が下されてしまった。
春生はそのことをずっと悔やんでいたという。自分が遠藤親子の人生を滅茶苦茶にしてしまった。だから残りの人生を賭けて間違いを正し、心麦にとって誇らしい父親でいたい。それが春生の願いだった。
そして、春生はあのクリスマスイブの夜、京子を家に呼び、話を聞こうとした。だが、守のためにももう後戻りできない京子は春生を睡眠薬で眠らせた上で、火を放ったのだ。
あまりに身勝手な犯行であり、同様の余地はない。けれど、京子が働きたいと言い出した時に赤沢がもう少し話を聞こうとしていたら、何かが違ったのだろうか。赤沢自身も後悔しているに違いない。
一命を取り留めた赤沢から心麦に届いた手紙には、京子一人の罪ではなく、自分たち夫婦の罪として償っていきたいという気持ちが込められていた。