本作最大の功労者である松風(松山ケンイチ)

『クジャクのダンス、誰が見た?』最終話©TBS
『クジャクのダンス、誰が見た?』最終話©TBS

 春生と鳴川の最大の違いは、娘を信じていたかではないだろうか。春生は心麦と強い絆があった。だから、過去に犯した間違いを正そうとする自分の姿を心麦はちゃんと見てくれると信じられたのではないか。

 一方、阿南に対して後ろめたさがあった鳴川は怖くて自分の弱みさえも見せることができなかったのだろう。「僕は臆病だ」と常々言っていた鳴川はそのことに自覚的だったと思われる。

 春生がいつだって自分を信じてくれたから、心麦も春生のことを信じた。本作の根底にあったテーマ「お互いを信じられる親子の絆」を示していたもう一組の親子が、遠藤力郎と友哉(成田凌)、そして神井(磯村勇斗)だ。

 冤罪が証明され、ようやく釈放された力郎と友哉はかつて一緒に暮らしていたマンションの前で再会を果たす。多くを語らずとも、2人の表情だけでその胸に迫る思いが伝わってきた。親子を見守る神井の普段とは違う優しげな笑顔にも泣けてくる。

 力郎の無罪を信じていたのは友哉だけじゃない。力郎を本当の父親のように慕っていた神井もまた信じていた。2人の“息子”の信じる力が奇跡を起こしたのだ。

 冤罪が証明されたとはいえ、20年以上の長い時間は返ってこないし、まだまだ多くの困難が待ち受けていることだろう。それでも、これから3人に、キャッチボールをしていた頃のような穏やかな時間が再び訪れることを願ってやまない。

 ラストは心麦と松風(松山ケンイチ)がラーメンを食べに向かうシーンで締め括られる。心麦を信じ、クジャクのいるジャングルまでしっかりと付き添った松風。心麦の保護者的な立ち位置にいながら、軽やかなキャラクターで相棒の波佐見(森崎ウィン)とともに視聴者の心を和まさせてくれた彼は本作最大の功労者と言えるだろう。

 原作の最終巻では、おまけの漫画で白バイ隊員となった心麦の姿が描かれている。シーズン2とまではいかずとも、願わくば心麦と松風のその後を描いたスピンオフドラマが観てみたい。

(文:苫とり子)

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