清々しい結末の要因は?
「死人に口なし」を何より嫌う灰江は最後も堂々たる口ぶりで語る。「法を司り、人を裁く立場の者が、己の欲望のままに法を犯しているとするなら、その人は罰を受けるべきだ。死者の言葉を聞くべきだ。今は亡き人々の思いは、この俺が泣かせねえぜ」と。
悪を成敗することに成功した灰江だが、地鶏のように執拗な恨みを持つことはない。それは、和宏が残していた遺言書を読んでいたからだ。
母・深雪(大塚寧々)から日記と遺言書を受け取っており、そこには地鶏への許せない気持ちとともに後悔も記されていた。遺言書には「どんな人にも優しくあってほしい。誰かをいつまでも恨んではいけない。どうか笑顔で」などと綴られており、灰江が父の言いつけ通りに成長し、仕事を行ってきたことが全10話を通して思い起こされる。
『相続探偵』は相続問題を解決しては次、という一話完結(2話にまたがる場合もあった)の体裁を取っていた。そのうえで巨悪である地鶏との対立構造をバックに描き、最終話までの縦軸としている。
誤解を恐れずに言えば、必要以上に謎や伏線を散りばめなかったことが奏功した。謎は小出しにされていたが、比較的早く回収され、最終話まで残っていたのは前述の地鶏の恨みの理由と、和宏が残した遺言書くらいだった。だからこそ、最終回でも必要以上に要素が散らかることなく、すっきりとした完結を迎えることができたのではないか。
もっとも、ラストシーンでは金山(渋川清彦)が遺言書を見せ、灰江に相談を持ちかける。弁護士資格を取り戻した灰江のシーズン2が始まる日もそう遠くないかもしれない。
(文・まっつ)
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