消防は、“何か”が起きないと対応できない…。
悪意も、理不尽も、未然に阻止できるものではない。そういった意味では、地震や台風などの自然災害も同じなのかもしれない。紗良(見上愛)が憂いていたように、消防は何かが起きてからしか対応ができない。誰かに命の危機が迫ってはじめて、必要とされる。
とくに司令課は、その場に駆けつけることもままならない仕事。その“何か”をただ待つだけなのはつらいと打ち明ける紗良、現場へと走る雪、SRのもとを訪れる兼下(瀬戸康史)…。それぞれがそれぞれに、消防の仕事に思いを馳せていた。
たとえ不条理なことがあっても、私にできることはしたい。そう突っ走っていくのが雪だ。道瀬がまた事件を起こした場合、それが子どもたちの遊ぶ公園だったら?多くの人が集まる病院だったら?いったい私には何ができる?と。自分自身に問い続ける。
だが、その問いは、雪を追い詰めることになった。重い内容のコールを受け続けた結果、心が悲鳴をあげることに。雪の場合、現場をまわっているから、なおのこと消耗してしまったのだろう。プロであっても、指令管制員もひとりの人間なのだと思い知らされる。
ひとりで何でも背負う勢いの雪に、姉の小夏(蓮佛美沙子)は「ひとりだけで救える命ってあるのかな」とぽつりとつぶやく。
指令管制員は、命を繋ぐ仕事。もしもそれを1本の糸に例えるならば、その端と端には必ず糸を持つほかの誰かがいる。
雪しかできないこともあるけれど、雪だけじゃできないこともある。このときの雪の、光の差したような、ハッとした表情が忘れられない。