ドラマ『秘密』第10話考察&感想。画面越しでも苦しい…シリアスの中でも中島裕翔”青木”に思わず笑ってしまったワケ【ネタバレ】

text by ばやし

板垣李光人&中島裕翔がW主演のドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)が放送開始中。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”が、死者の生前の記憶を映像化する特殊技術で難事件に挑む。今回は、第10話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

薪(板垣李光人)の心が蝕まれていく…。

『秘密~THE TOP SECRET~』第10話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第10話©カンテレ

 今でもあの悪夢のような惨劇が、ただの夢であったならと思ってしまう。それほど第9話の最後で起きた悲劇は、あまりにも受け入れがたい光景だった。

 浴槽で死んでいた姉夫婦の遺体を目にする青木(中島裕翔)。脳を摘出するために運ばれてきた青木の姉の解剖を行う雪子(門脇麦)。そして、青木が震える声で伝える切実な思いを、ただ電話越しで受けとめることしかできなかった薪(板垣李光人)。

 誰もがやりきれない現実を前にするなか、青木は倉辻家の告別式で、棺に納められた姉・和歌子(佐津川愛美)の頭部に刻まれた縫合の痕を見つける。

 青木の父が病気で亡くなった際、和歌子が「お父さんの脳をとって見たりしないよね」と尋ねると、青木はすぐに「するわけないだろ。そんなこと」と否定していた。こんな事態になるとは夢にも思わなかったはずだ。

 ただ、MRI映像は単なる事件の証拠ではない。誰かにとっての大切な記憶であり、誰にも見られたくない秘密が隠されている。事件解決の糸口となる手がかりの裏には、必ず誰かの死が存在しているとあらためて思い知らされる。

 弔問に訪れた薪もまた、沈痛な面持ちの青木を見て、親友である鈴木(中島裕翔/二役)を亡くした過去を思い出す。あくまで自分ではなく周囲の人間に刃が向けられる。その残酷な仕打ちが、いっそう薪の心を蝕んでいく。

 姉が殺されてもなお「どうか俺を捜査から外さないでください」と薪に懇願する青木を目にした、母・千枝(神野三鈴)の悲痛な叫びがやるせない。行き場のない憤りと悲しみが込められた「あんたが」という言葉が、次第に「あんたまで…」に変わっていく。もう我が子を失いたくない母の気持ちが、その短いひとことに滲んでいた。

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