青木(中島裕翔)の姉夫婦が殺された理由は?
青木の姉夫婦が殺された事件は「恵比寿夫婦殺人事件」として第九で捜査されることになった。しかし、被害者の身内である青木には配慮がなされ、別室で事務作業をするように命じられる。
それでも薪は「お前の代わりにぼくが見る。ちゃんと見て捜査する。だから、そんなに心配するな」と青木に声をかける。このシーンでは、板垣李光人の芝居に込められた優しさが、映像越しにも伝わってくるようだった。普段の厳しい薪の姿を見ているからこそ、青木を労る優しい声音が際立つ。
そして、薪が青木を気にかけるように、岡部(高橋努)もまた薪を気遣う。「あなたは大丈夫ですか」と問いかけるのは、暗闇をさまよう青木を支えようとする薪自身が、今にも倒れそうなほど困憊しているからだ。
そんな薪に追い討ちをかけるように、姉夫婦のMRI映像に映っていた犯人の素顔が明かされる。ほかの捜査員がピンと来ていないなか、薪はその顔に見覚えがあった。
第1話で言及されていた、第九のなかでも薪だけが知る石丸大臣の死に関する“秘密”。青木の姉夫婦が殺されたのは、MRI映像によって脳がのぞき見られることを見越して、唯一の秘密を知る薪を脅迫するためだったのだ。
一連の所業が、どれほど薪にとって残酷なことなのか。画面越しに観ている視聴者でさえわかるほど、薪の心身は限界に近づいているように見えた。
だからこそ、何もかもの責任を一人で背負い込もうとする薪には、無理矢理にでも荷物を取り上げようとする青木や岡部のような存在が必要なのかもしれない。