身体に良いレシピで心が満たされる

『しあわせは食べて寝て待て』第1話 ©NHK
『しあわせは食べて寝て待て』第1話 ©NHK

 誰だって、好きで病気になる人はいない。できるものなら、健康に暮らしていきたい。でも、健康的な生活をしていたって病気になるときはなるし、その逆にジャンキーな食生活を続けている人がなぜか長生きしたりすることだってある。

 恋愛と同じで、大切にした分だけ報われるわけではないのが、健康というものなのかもしれない。実際にわたしのまわりでも、不摂生すぎる生活をしておきながら、医師に「健康そのものです」と太鼓判を押されている人もいる。
 
 しかし、身体に良いレシピを食べると、心が満たされる瞬間がある。これからさとこは、そんな食事の魔法にハマっていくことになるのだろう。

 頭痛を治す大根、風邪に効くスープ、喉を潤してくれる食材…。これらはすべて大きく分けると“薬膳”だ。

 そもそも、薬膳とは中国の伝統医学の考えに基づいた食事のことで、体調不良を改善して身体のバランスを整えてくれるもの。司が言うように、素人でも薬膳は取り入れられるし、毎日の食事で実践することもできる。

 ちなみに、司の母(?)の鈴(加賀まりこ)は、現在90歳にも関わらず、すこぶる元気。80歳を超えたあたりから身体にガタが来たようだが、薬膳を始めたら薬を飲むことが減り、主治医の先生もびっくりしているらしい。

 序盤のさとこは、膠原病は“一生付き合っていく病気”だと思って、共生していく方法ばかり考えていた。しかし、もしかしたら薬膳の力でちょっとでも良くなっていくかもしれない。そんな希望こそが、さとこにとって最も必要なものだったのではないか? と思う。

(文・菜本かな)

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