助けを求められる人が本当に強い人
休職後、優太は部屋の掃除を始める。普段は締め切っている窓を開けて空気を大きく吸い込み、昼間は耕助や葵と河原でピクニック。夜は綺麗になったお風呂に浸かり、一日の疲れを癒す。
そんな日々の中で、優太は「明日が楽しみ」と思えるようになっていた。そう思えるなら、一度立ち止まってみるのも悪くない。
もちろん、優太の会社の社食で2人の男性社員が話していたように、復帰して元の生活にすんなり戻れるとは限らない。
今は優しさよりも強さが求められる社会になっているような気がする。自分の痛みにも他人の痛みにも敏感で、ひたすら前に進める強さ。
でも、それは本当に強さなんだろうか。誰かを傷つけたことに耐えられず、仕事を辞めた耕助は、男であるというだけで得していることに後ろめたさを感じ、妻と向き合えなくなった葵は、自分が疲れていることに気づき、休職という手段を選んだ優太は、弱いのだろうか。私はそうは思わない。
「助けてって誰かに伝えるのは難しいことです。あなたは、それができた人なんですよ」と耕助のカウンセラー(趙珉和)は言う。泣くことも、弱音を吐くことも、誰かに助けを求めることも、立ち止まることも、実は簡単なようで大人になると難しいこと。それができる彼らは本当の意味で強い人たちだ。
(文・苫とり子)
水ドラ25「晩餐ブルース」
テレ東ほか 毎週水曜 深夜1:00~深夜1:30
各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」「TELASA」「J:COM STREAM」「milplus」「Prime Video」 にて順次見放題配信
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