大河ドラマ『べらぼう』第13話考察&感想。小芝風花と市原隼人の芝居が上手すぎる…”検校”が”蔦重”に強く嫉妬するワケ【ネタバレ】
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第13話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
高利貸しが江戸の町を揺るがしていく――。
光あるところには、必ず影がある。光が強ければ強いほど、影も濃くなる。人の世もまた然り。誰かが脚光を浴びる一方では、他の誰かが陰りを帯びているのかもしれない。
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第13回では、当道座による高利貸しが江戸の町を揺るがしていく。
吉原の俄祭りが終わり、蔦重(横浜流星)は“朋誠堂喜三二”こと、平沢常富(尾美としのり)と新たな本作りに乗り出していた。“道陀楼麻阿(どうだろうまあ)”という新たな戯号で平沢が手がけたのは、吉原の各町を一国、遊女屋を群、女郎を名所に見立てた案内本だ。
その案内本を片手に女郎を選り好みするのが北尾政演(古川雄大)、のちの山東京伝である。若く才能に溢れた色男で、蔦重は「女に手を出すのも早いが、筆も早い」と師匠である北尾重政(橋本淳)から紹介されたのだった。
こうして蔦重が次々と強力なビジネスパートナーを得ていく一方で、鱗形屋(片岡愛之助)は没落の一途を辿っていく。
ある日、鱗形屋が再び偽板の罪で捕まったという話を耳にした蔦重。須原屋(里見浩太朗)によれば、鱗形屋が各所に借金を重ね、その証文の1つが鳥山検校(市原隼人)を頭とする金貸しの座頭に流れたことがきっかけだという。
座頭とは、目の不自由な男性のための自治的互助組織「当道座」に所属する下位の盲のこと。当道座は幕府から金貸しを許されていたが、一部にはあくどい座頭も存在し、厳しい取り立てにあった従業員の徳兵衛が店を守るために鱗形屋には内緒で偽板を作っていたのだ。
そんな鱗形屋に、蔦重は同情したのかもしれない。それに、鱗形屋は朋誠堂や恋川春町(岡山天音)と組んで、次々と面白い青本を世に送り出している名プロデューサーであり、蔦重も尊敬する一人だ。