板垣李光人の芝居の集大成

『秘密~THE TOP SECRET~』最終話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』最終話©カンテレ

 薪と瀧本が対峙するシーンでは、数々の場面で役柄を憑依させてきた板垣李光人が、まさに薪の強さと弱さを内包させる芝居の集大成を魅せてくれた。

 目の前に現れた貝沼の亡霊に揺さぶりをかけられる薪。すると、貝沼を前にした途端に、彼はまるで第1話に逆戻りしたかのように幼い表情を見せる。意図してのことだろうが、これまで着実に積み上げてきた凛々しい室長としての姿の残像を残すことなく、一瞬で彼の弱さを芝居に込められるところに板垣の凄みを感じる。

 その後、匿名の告発サイトに石丸大臣のMRI映像が投稿されていることを知った瀧本を見つめる薪の表情には、すでに先ほどの弱々しい姿の面影はない。何事もなかったかのように整然とした佇まいで、瀧本を追い詰めていく余裕っぷりのギャップに驚かされた。

 しかし、再び目の前に現れた貝沼は、さらに驚くべき事実を告げる。彼は瀧本にも施していた催眠術によって、鈴木(中島裕翔/二役)が薪に殺されるように、自ら引き金を引けないように細工していた。猟奇的な愛情を注ぐ貝沼は、最後まで薪のトラウマであり続けたのだ。

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