村上春樹の世界観にピッタリはまった鳴海唯
第2話で主役を飾るのは、本作がテレビドラマ初主演の鳴海唯だ。
2011年、茨城の海辺の街で暮らす順子(鳴海唯)は、父親との関係が上手くいかずに家出をしたあと、サーフィンとギターに没頭する啓介(黒崎煌代)の家に転がり込み、半同棲のような生活を送っていた。
原作の短編小説「アイロンのある風景」ではあまり順子の生活風景は描かれないが、ドラマでは線路の上を歩くシーンを筆頭に、彼女の揺れ動く心情を浮き彫りにするような描写が多く挟まれている。
このエピソードが落ち着いた空気感に包まれているのは、鳴海が村上春樹の世界観にしっかりハマっていることも要因だろう。加えて、黒崎煌代の芝居も啓介の役柄にマッチしていた。
原作では下世話な冗談をたびたび口にしていたが、ドラマではちょうどいい塩梅でセリフが調整されている代わりに、思ったことをすぐに口にしてしまう無垢で純粋な部分が強調されている。