夜な夜な焚き火をする三宅(堤真一)
順子が働くコンビニを訪れて、毎日決まった時間に決まった商品を買いに来る。それが、順子と同じようにこの街に流れついた画家の三宅(堤真一)だった。彼の家には冷蔵庫がない。そのため逐一、コンビニへと足を運んでいたのだ。
三宅を演じる堤真一はいっそう哀愁が漂う風貌になっており、くたびれた関西弁を話すおじさんの役柄がことさらに似合っていた。ときおり見せる淋しげな表情はもちろん、冷蔵庫に閉じ込められる夢を見て悶え苦しむシーンでは、堤の迫真の演技によって、どれほど耐えがたい時間だったのかが肌感覚で視聴者にも伝わる。
コンビニの仕事からの帰り道、海辺で流木を集めて焚き火をしていた三宅を見つけた順子は、次第に彼に興味を抱くようになり、夜な夜な焚き火をする彼のもとに入り浸るようになる。
もしかすると彼女は絶縁した父親に代わる存在として、三宅のことを認識していたのかもしれない。順子と三宅が砂浜で毎日のように落ち合うなか、いつの間にか自然と啓介も交えて、彼らは焚き火を囲むようになった。