ドラマ『対岸の家事』第3話考察&感想。江口のりこの頑張る姿がつらい…一見フェアな”肩代わり”が上手くいかない理由とは?【ネタバレ】
多部未華子主演のドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)が、現在放送中。専業主婦の主人公が、働くママや育休中のエリートパパなど生き方も考え方も正反対な「対岸にいる人たち」とぶつかりながら繋がっていく。今回は第3話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
「苦しいときには肩を貸せばいい」
優しく投げかけた『対岸の家事』第3話
海の上に降る雨。面白い表現だ。
海の上に降る雨はデータでは観測できない。実際に船が通りかかって、人が直接見ることで雨が降っていると初めて知ることができる。人が心のうちに抱える思いだって同じかもしれない。
『対岸の家事』第3話では、礼子(江口のりこ)が苦しんでいた。下の子である娘の星夏(吉玉帆花)がおたふく風邪にかかり、仕事を休めないために詩穂(多部未華子)に子供を預けることに。
やっとの思いで乗り越えたが、今度は上の子である篤正(寿昌磨)がおたふく風邪にかかってしまい、子供の状況に振り回されてしまう。
仕事も家庭も両方を取った共働き家庭の礼子。しかし、本人も自覚しているように仕事では同僚に肩代わりしてもらい、家庭も隣人である詩穂に手伝ってもらってしまっている。
元々は営業での成績もトップで、優秀できっと責任感も強かったはず。それだけに、周りが自分の穴を埋めるために動き、結果的に「苦しむのは自分じゃないから苦しい」。
会社の肩代わり制度や、詩穂にも直接お金を手渡すことで、対価を支払うことはできる。中谷(ディーン・フジオカ)が言うように他人の子供を預かるのは、命を預かるという重大な仕事でもあり、肩代わり制度と同様に対価は受け取って然るべきだ。
互いの不利益を補うフェアなやり取りかと思われたが、その実、思っていることは話してみないとわからない。