「煙を見つけるために火を起こす」

『イグナイト –法の無法者-』第1話©TBS
『イグナイト –法の無法者-』第1話©TBS

 2000年以降の司法制度改革によって弁護士の数が大幅に増えたことで、もはや弁護士になったとしても安泰とは言えなくなった昨今。その煽りを喰らう形となった新米弁護士の宇崎凌(間宮祥太朗)は、司法試験に受かってようやく弁護士資格を得たものの、いまだに事務所に入ることができずにいた。

 見るからに暑苦しそうな性格ながら、眼光の奥には並々ならぬ覚悟が燃える。工事現場の警備員として働くシーンでは、暴れたら手のつけられない性格の片鱗をすでに垣間見せていた。感情を爆発させる間宮祥太朗の芝居がこれからたくさん見られるのかと思うとワクワクしてしまう。

 その後、宇崎が藁にもすがる思いで面接に訪れたのが「ピース法律事務所」。必死に肉体派であることをアピールする宇崎だったが、所長を務める轟謙二郎(仲村トオル)はあっさりと彼に採用通知を言い渡す。

 しかし、この法律事務所が正当な方法で依頼を承っていないことはすぐ浮き彫りに。事務所唯一の女性弁護士である伊野尾麻里(上白石萌歌)が、ダイエットサプリの副作用による健康被害に目をつけたのならば、高井戸斗真(三山凌輝)は冷めた表情で不倫が横行するタワーマンションの存在を淡々と報告する。

「争いが起きるのを待っているだけじゃだめなんだよ。争いは起こせばいいんだよ」と言い放つ轟。受動的に依頼を待っているのではなく、能動的に依頼者を焚きつけて、燻っている火種を燃え上がらせる。「火のないところに煙は立たない」とはよく言うが、「煙を見つけるために火を起こす」のがピース法律事務所のやり方だった。

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