主人公の正義感がチームのラストピース
ムードメーカー的に立ち回る伊野尾から雑に扱われる宇崎。そんなふたりを意にも介さずスマホゲームに集中する高井戸と、個性が尖った弁護士たちを程よくあしらってまとめる轟。急造の編成ではあったものの、宇崎がいなかった頃のチームを想像できないほどには、4人のキャラクターバランスは整っていた。
愛嬌のあるキャラクターを演じさせれば天下一品の上白石萌歌や、BE:FIRSTのメンバーとしてステージで踊る姿とは対照的に静かに闘志を燃やす役柄が似合う三山凌輝のキャスティングも絶妙だが、胡散臭いルックで腹に一物を抱えてそうな轟という役柄を仲村トオルに任せるところに、制作陣の個性が光っているように思う。
そんな3人に宇崎を加えたチームで挑む初めての案件は、山上工業で起きた作業員の不審な転落死。轟たちは、まず被害者の妻である斎藤美咲(土屋太鳳)をターゲットに選び、接触を試みる。
弁護士側から被害者に「訴訟を起こしませんか?」と言いに行くのは不自然にもほどがあるが、彼らは決して更地に火を起こそうとしているわけではなかった。会社から払われた多額の見舞金、善意を装った美咲の雇用など、着火するための火種はすでに燻っていたのだ。
結局、最後にその火種を燃え上がらせることに成功したのは、持ち前の行動力で猪突猛進にぶつかっていた宇崎だった。自身は轟たちの手段を選ばないやり方に不服がありそうだったが、彼の暑苦しいほどの正義感はこのチームにおけるラストピースであるように思えた。