最後に描かれた「救い」

ドラマ『地震のあとで』第3話©NHK
ドラマ『地震のあとで』第3話©NHK

 終始、暗いトーンで進んでいくエピソードではあったが、最後には「救い」も描かれていた。

 これまで頑なに神様の存在を信じていた田端は、善也の母親に欲情していたことを善也に打ち明ける。神様が見ている前では告白できなかった邪念を、彼は死の間際だからこそ、ようやく口にすることができた。

 一方、善也も自暴自棄に踊っていたクラブに居合わせた同僚のミトミ(木竜麻生)から「君がかえるの子でも、神様の子どもでも、そんなの関係ないんじゃない」と言われる。彼はあまり覚えていなかったようだが、ミトミの言葉は善也にとって、もっとも他者からかけてほしかった言葉なのではないだろうか。

 物語の最後に善也が呟いた「神様…」というセリフに続く言葉は描かれない。しかし、映し出された彼の表情からは、今まで囚われていた「父親に限りなく近しい神様」の存在との決別が色濃く感じられた。

(文・ばやし)

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【了】

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