『対岸の家事』第4話考察&感想。江口のりこ”礼子”の「悪気のない」発言が…視聴者も思わず自戒したくなったワケ【ネタバレ】

text by まっつ

多部未華子主演のドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)が、現在放送中。専業主婦の主人公が、働くママや育休中のエリートパパなど生き方も考え方も正反対な「対岸にいる人たち」とぶつかりながら繋がっていく。今回は第4話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

「持つ者」と「持たざる者」

『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第4話©TBS
『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第4話©TBS

 持つ者と持たざる者――。そんなシビアな外野からの評価は、ときに全く的はずれなこともある。

『対岸の家事』第4話で登場した晶子(田辺桃子)ははたから見れば恵まれている。若くて美しく、優しい医者の夫を持ち、蔦村医院の受付としてみんなから愛されている。

 いわゆる「玉の輿」と形容できる人生で、経済的にもあくせく働く必要はない。世の女性からすれば、ひとつの理想とも言える妻の姿かもしれない。

 すべてを持っている人に見えていた晶子だが、子宝には恵まれていなかった。周囲からは子供を期待され、不妊治療のためにレディースクリニックにも通院。医院の後継ぎのためにも子供を生むことを求められていた。

 そのプレッシャーは計り知れないし、もっと言えば男性の私からすると皆目検討もつかない。ただ、生きていて、「子供を持って初めて一人前」という考えが世の中にどれだけ根づき、実際自分自身も心のどこかで近い思想を持っているということは理解している。

 そんな世界で生き、まだ続けたかった保育士をやめ、子供を生むことが「仕事」とさえ認識している晶子はどれだけ苦しかっただろう。周囲の「子供ができれば…」という期待に悪気はない。それは晶子も知っているが、悪気はないというのは人を傷つけてもいい免罪符にはならないと思う。

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