なぜ『あんぱん』は好スタートを切れたのか? 面白さの理由を考察&解説。人気の秘密は”やなせたかし”にあり?
今田美桜主演のNHK朝ドラ『あんぱん』が4週目に差し掛かった。漫画家・やなせたかしとその妻・小松暢をモデルに、2人が、『アンパンマン』にたどり着くまでを描いた本作が、注目を集めている。本作がなぜ視聴者を惹きつけるのか、これまでを振り返りながら解説していく。(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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朝ドラ『あんぱん』に練り込まれた“やなせたかしイズム”
2025年3月31日(月)放送開始した『あんぱん』もすでに4週目に差し掛かり、面白さが加速している。放送終了後のXは、視聴者による感想合戦で盛り上がっており、その人気ぶりがうかがえる。
思い返せば『あんぱん』の期待値は、放送前から高まっていた。人気と実力を兼ね備えた今田美桜が主演を務め、北村匠海、阿部サダヲ、江口のりこ、竹野内豊、松嶋菜々子、吉田鋼太郎など、実力派俳優が脇を固める。それだけでも視聴者の関心を惹きつける要素としては十分だが、注目ポイントは、キャストのビジュアルや役名だ。
阿部サダヲ演じる屋村草吉は“ヤムおんちゃん”と呼ばれ、帽子からはみ出したくるくるパーマが“ジャムおじさん”すぎることで話題となった。さらに、江口のりこ演じる羽多子は、ヤムおんちゃんと一緒にパン作りに励むバタコさん…。このように、原作になぞらえた登場人物たちが、視聴者の心を掴んだ要因だ。
また、やなせたかしイズムがふんだんに練り込まれたセリフも心をくすぐる。例えば、竹野内豊演じる寛は、「アンパンマンのマーチ」の歌詞と同じセリフで、嵩を勇気づけるシーンが多々ある。嵩が人生の道に迷った時、困ったときに、寛はマイルドな土佐弁で「何のために生まれて、何をしながら生きるのか」と問う。
このシーンが本当に好きだ。本作は、誰しもが心のうちに抱えるさみしさや、己の人生の意義を深く問いかける。と同時に、かつて幼き頃に親しんだあのアンパンマンの世界に再び触れたような、心の奥底に眠っていた温かな記憶を呼び起こすのだ。
さらに、今後注目してみてほしいポイントは、画の美しさだ。例えば第1週の3話。松嶋菜々子演じる富美子が、幼い嵩を残して1人嫁ぎ先へ行ってしまうシーンは思わず息を呑む。美しい山々を背景に、どこに続いていくのかわからない一本道。そこに青い着物を着た松嶋菜々子が凛とした佇まいで立っている。その美しさが逆に手に入らないもののような気がして、残酷に映った。この他にも、ロケ地である高知県の美しい山川、こだわり抜かれたセットや衣装など、人ぞれぞれの“推しポイント”が見つかるはずだ。
15分間に込められた熱量が桁外れの本作。『あんぱん』を観れば、きっとあなたも「元気100倍」になろうだろう。
(文・野原まりこ)
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