ネガティブな言葉に釣られて、気持ちまで落ち込む
鈴に副業を勧められたさとこは、空き部屋をレンタルスペースにすることを思いついた。やってきたのは、団地に住む高校生の弓(中山ひなの)。弓は、弟と一緒の部屋で勉強に集中できないため、静かな空間を求めていたらしい。
常連客ができて喜ぶさとこだが、彼女は親に内緒でレンタルスペースに来ていることが発覚! やはり、副業は簡単にうまくはいかない。
家にも学校にも居場所がない弓は、自分が自分らしくいられる居場所を探していたのだろう。だから、レンタルスペースにやってきた。
もちろん、勉強するためもあったのかもしれないが、安らげる場所がほしかったんじゃないかな? と思う。自暴自棄になり、「どうでもいい」が口癖になっている弓に、さとこがこんな言葉をかけていた。
「ネガティブな言葉が口癖になると、厄介だよ。言葉に釣られて、気持ちまで落ち込むから。だからね、ネガティブなこと言っちゃったら、こう付け足すといいよ。な〜んて嘘だけど! とかさ。そしたら気持ちも、な〜んだ! 嘘か! ってなる。人間って単純だよね」
さとこも、具合が悪いなか壁にぶつかると、とことん落ちて「死にたい」とつぶやいてしまうことがあった。でも、そんなときこそ「な〜んて。嘘だけどね」と言葉にして、気持ちを騙して生きてきたのだ。
あのとき踏ん張って生き抜いたからこそ、揚げたての天ぷらを食べて「こんな幸せあっていいの〜」なんて満面の笑みを浮かべられる“今”がある。