意次(渡辺謙)とのやり取りに涙
エレキテルの一件から人間不信に陥り、ついには自分のことさえも信じられなくなった源内の手を意次は格子越しに握って自分の頬にあてがう。そして「俺はここにおる。源内、意次はここにおる」と優しく語りかけ、もう片方の手で源内の頭を撫でる意次。すると、源内は堰を切ったように泣きじゃくる。ブロマンスを感じさせる2人のやりとりに涙腺を刺激された。
だが、意次のおかげで正気を取り戻したかのように思えた源内は、凍えるような寒い牢の中で非業の死を遂げる。その後、源内の家から回収された「死を呼ぶ手袋」の原稿を読み、意次はようやく事態を理解するのだった。
源内は意次の支援を受けながら様々な事業を推進し、代わりに意次は源内の拝借して出世を果たす。最初はただのビジネスパートナーだったが、交流を深めていく中で2人はお互いの才能に惚れ込んでいったのではないだろうか。だからこそ、意次は自分が毒殺の疑いをかけられたままでも源内を守ろうとした。
けれど、源内は言われのない罪で意次が周りから蔑まされるのを黙って見てはいられなかったのだろう。
人生の転落に耐えられなかった源内は正気を失い、果てには人を殺して死んだそんなのは「我儘に生きることを自由に生きるっつうのよ。我儘を通してんだから、きついのは仕方ねえや」と常に前を向いていた源内らしくない。源内は最後の最後まで再起を企んでいたし、唯一無二の友のために奔走していた。
それが、平賀源内を愛する一人である脚本家・森下佳子が「どうせ分からぬなら」の精神で描いた最期だった。