謎が残る源内の死因
源内の死の直前に、誰かが差し入れた白湯についてチーフ演出の大原拓氏は「これは台本にもあるんですけど、毒入りなのか毒入りじゃないのかわからないという設定です。温もりなのか温もりじゃないのかという意味合いで置いています。どちらでも捉えることができる」とインタビューで答えている。
源内は毒殺されたのかもしれないし、また別の理由で亡くなったのかもしれない。はたまた、蔦重が考えたように、源内は偶然にも自分の読者だった牢番に助け出され、生き延びたかもしれない。
そんな風に余白を残して去るところも実に源内らしいではないか。「好きに考えてくれりゃあいいけど、その代わりとびっきり面白え話にしてくれよ」と笑う源内の姿が目に浮かぶ。
「じゃあ俺はな、平賀源内を生き延びさせるぜ。この須原屋が、源内先生の本を出し続けることでさ。ず〜っと、ず〜っと。ああ! それこそ俺が死んでも、源内さんの心を生かし続けることができるだろ? 伝えていかなきゃな、どこにも収まらねえ男がいたってことをよ!」そんな須原屋の言葉通り、平賀源内の功績や生き様は200年以上が経った今もなお書籍を通じて語り継がれている。
年が明け、蔦重は瀬川考案の「伊達模様見立蓬莱」をはじめとする新刊10冊を敢行。源内から与えられた「書を以って世を耕す」という使命を胸に再び歩き始めた。この第16回をもって物語の3分の1が終了。一回の休止を挟み、5月4日に放送される第17回から第二章がスタートする。
(文・苫とり子)
【関連記事】
・【写真】安田顕”平賀源内”の身に一体何が…? 貴重な未公開写真はこちら。大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』劇中カット一覧
・なぜ『べらぼう』小芝風花の花魁は視聴者を魅了したのか? 徹底解説
・大河ドラマ『べらぼう』は江戸時代版「トキワ荘」?
【了】