「うざくて熱い」と評する若者にどう接する?

『PJ ~航空救難団~』第1話 ©テレビ朝日
『PJ ~航空救難団~』第1話 ©テレビ朝日

 厳しいのは確かだが、近年のドラマでよく見られるような恐ろしいほどの厳格さはなく、登場からド派手で場の空気を明るくさせる。さらには、ユニークな言い回しがあったり、笑顔を見せることも少なくない。訓練生たちと一緒にランニングし、声をかける姿なんかはむしろ親しみやすい部類に入るのではないか。

 ただ、実際に近い立場にいたらと考えれば評価は別。訓練を受ける若者たちが口にする「うざくて熱い」という評価も納得なのだが、百戦錬磨の救難員として学生と見えているものが違うのは大きな信頼感があった。

 訓練生の一人である沢井は過去に山で遭難し、航空救難団に救出されたものの、父を亡くしていた。そのため、強い自責の念を抱き、自分が救難団に入り人を救うことで前に進むことができると考えている。一方で、自らの命を軽視しているような発言もあり、普段の訓練からムキになって周りが見えなくなる傾向があった。

 訓練においては7人の中でも優秀であることが見て取れたが、いざ現場に立ったときどうなってしまうか、宇佐美は経験から知っているのだろう。「今のお前じゃ誰も救えない」と言葉をかけるだけでなく、自身と競わせることでいまの沢井がいかに心身ともに未熟であるか思い知らせるのだった。

 だが、人一倍訓練生のことを考える宇佐美はアメとムチも使い分ける。心を開ききれていなかった沢井に対して「お前の中のお前。本当のお前はなんて言っている。お前を赦してやってくれ」と温かい言葉を送る。

 それはずっと過去にとらわれていた沢井が最も欲しかった言葉。沢井は涙を流し、宇佐美と真の意味で心がつながるのであった。

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