“普通”がひとつだった時代

『波うららかに、めおと日和』第1話 ©フジテレビ
『波うららかに、めおと日和』第1話 ©フジテレビ

 ある日、父親に「嫁ぎ先が決まった。式は来週だ」と言われ、一度も会ったことがない人と、一週間後に式を挙げるなんて、現代では考えられないことだ。また、家のなかで男性がずっと座っていて、女性がすべての面倒を見る…というのも、なかなか見なくなった光景である。

 今のドラマで、瀧昌のように無言でお茶碗を差し出す“夫”が登場したら、「モラハラ」などと罵られてしまうかもしれない。でも、昭和11年はそれが普通だった。もしかすると、普通がひとつだった時代は今よりも生きやすかったのかもしれないなぁ…なんて思った。

 現代は、さまざまな生き方が支持されるようになった。結婚しても、しなくてもいい。結婚後は専業主婦になってもいいし、共働きでもいい。子どもを持たない夫婦も増えている。でも、「どんな生き方でもいいよ」と言われるからこそ、「どんな生き方をすればいいんだろう?」と悩むことがある。

 『波うららかにめおと日和』のように、お見合いや親が決めた人と結婚をして、男性は外で働き女性が家を守るのが“普通”だった時代なら、こんなに悩まなくても良かったのかなぁ…とちょっぴり思ってしまった。今の時代、何が正解なのか分からない…というか、正解を自分で見つけ出していかなければならないからむずかしい。

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