「みみずくん」の正体とは?

ドラマ『地震のあとで』最終話©NHK
ドラマ『地震のあとで』最終話©NHK

 かえるくんは30年前にも片桐と力を合わせて「みみずくん」の脅威から東京を救っていたことが明かされる。そして、あのときの「みみずくん」がまた東京を危機に陥れようとしていることを理由に、かえるくんは片桐に助けを求めたのだった。

 第4話では、これまでの物語で表象として扱われてきた冷蔵庫やスキットルなどのアイテムが数多く登場する。かえるくんが片桐に言う「箱の中身はあなたです」というセリフも、第1話で小村が自身の心を明け渡してしまうシーンとリンクしていた。

 物語のエンディングで映され続けていた地下道もようやく本編に姿を現す。地下道はみみずくんとも重なる存在として、映像では映し出されているように思えた。

 そもそもみみずくんは悪の権化ではなく、人の不幸や憎しみを吸い込んだ土を食べ続けたせいで、我慢できずに地震を起こそうとしているのだという。みみずくんを地下道や地下鉄にたとえたのは、光の当たらない地下が現代において、人々の恨みや不満の温床になっているからではないか。

 次々と発展していく地上の街に比べて、地下は現実から切り離されて動いている。人々は恨みや不満を隔離して忘れることで、日々を安寧に過ごすことができた。その不安の集合体が顕在化したのが、地下に蔓延る「みみずくん」だったのかもしれない。

1 2 3 4
error: Content is protected !!