そもそも「多様性」とは?
というわけで、今回のテーマは多様性。一致団結することで力を発揮できると考える第一営業部部長の岩谷(中野剛)と堀でバッチバチに火花を散らす。
改めてだが、多様性は難しい。そもそも「多様性」とは? と考えるとキリがない。多様性が大事だとは分かっていても、周りの人と自分が一緒だと安心するのも事実だし、自分と違うものを排除したい、という社会の風潮も日常で感じる。シンプルに「よく分からないもの」に対する恐れも大きいのだろう。
「ドラァグクイーン」である清川に対しても、岩谷や取引先の忌避反応というのは顕著だ。
自分らしくいることはとても大事だけれど、周りと同じような格好をして己を殺すのは自分を守るためにも大事だし、安全だ。清川は堀に背中を押されて自分らしくいようとするが、仕事上では辛い場面も頻発する。
一方、堀がこの件になぜ肩入れするのかと言うと、彼女と同期だった女性が第一営業部で差別されたために辞めたからだった。「多様性」には「男性と女性」も含まれる。そうなるとグッと問題が身近になる。「女性だから」という理由だけで排除されたり、のけ者にされたりということは令和でもよく聞く話だ。残念なことだけれど。
ただ、作中で男女差別をフューチャーしすぎると、見る側の捉え方も偏りそうだ。
ドラァグクイーンを受け入れられるか、女性も男性と同じように働くことができるか。違う話をしているようで根っこは一緒だ。