『対岸の家事』第5話考察&感想。多部未華子が新たなロールモデルに…「経験できなかった」”詩穂”が持つ強さとは?【ネタバレ】

text by まっつ

多部未華子主演のドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)が、現在放送中。専業主婦の主人公が、働くママや育休中のエリートパパなど生き方も考え方も正反対な「対岸にいる人たち」とぶつかりながら繋がっていく。今回は第5話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

子供の未来は「体験」で決まる?

『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第5話©TBS
『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第5話©TBS

「人生で無駄なことなどひとつもない」。一般的によく言われることを綺麗事ととるか、真実ととるかはその人が経験してきた人生に左右されるのだろう。

 29日に放送された『対岸の家事』第5話で挙げられた問題が子供の「体験格差」だ。

 中谷(ディーン・フジオカ)いわく、子供が幼い頃に何を経験できるかは親から贈ることのできるギフトであり、将来的には「ガクチカ(学生時代に力を入れていたこと)」という武器にもなる。だからこそ、中谷は娘の佳恋にいろいろな習い事の体験をさせ、詩穂(多部未華子)親子にも押し付けるかのように強く勧めるのだった。

 実際、子供時代にした経験が人生に影響を及ぼし、人格形成において重要な意味を持つというのはゆるぎのない事実だ。習い事をしていれば何かに向かって努力をする意味と成功(失敗)体験を知るし、スポーツをしていれば運動能力や体力を向上させられることは間違いない。また、幼稚園や学校以外のコミュニティに属することで、人間関係においても学ぶことは多いかもしれない。

 ただ、詩穂は学生時代の経験から中谷に対して強く反発してしまう。それはほかでもない彼女が親によって何かをする経験を奪われたから。母が亡くなり、最初は父も家事に協力していたが、次第にそれは詩穂の仕事に。炊事や洗濯といった日々の家事に追われるうちに2つのことを同時にできないと気付き、詩穂はバスケットボール部を辞めることを選ぶのだった。

 そうした思い出があったからこそ、詩穂は自分の選択によって娘の苺ができるはずの経験を奪っているのではと悩む。礼子(江口のりこ)の「専業主婦だからあげられているものもきっとあるよ」という励ましにも表情はさえないままだった。

1 2 3
error: Content is protected !!