司(宮沢氷魚)と鈴の出会い
第5話では、司(宮沢氷魚)と鈴の出会いのシーンが描かれた。司と同居する前の鈴は、ビジュアルからしてまったくの別人。今は、「本当に90歳!?」「年齢詐称してない…?」と疑ってしまうくらい若々しい鈴だが、当時の彼女には覇気がなかった。夫を亡くして、生きがいを失ってしまっていたのだろう。そんなときに現れた司は、鈴にとって天使のような存在に見えたのではないだろうか。
部屋の片付けを手伝ってくれるときも、ただ無鉄砲に「捨てなさい」と言うのではなく、「写真を撮って、写真だけでいいかなと思ったものは処分したらどうですか?」などと具体的なアドバイスをくれる。祖母と母を相次いで亡くし、仕事も辞めてしまった司にとっても、居場所ができたような気持ちになったのだと思う。
あるとき、司は鈴に「そんなに親切にしてもらっても、僕はふらっといなくなってしまうかもしれませんよ」とつぶやいた。どうやら、司の父親は家族を背負うことに重荷を感じ、赤ちゃんだった司と母親を置いて、蒸発してしまったようだ。「最低な親父だって思ってましたけど、最近、そういう気持ちが分かる気がして。似てるんでしょうね。親子だから」と寂しげに言う司に、鈴は「ううん。あなたはあなた」と声をかけた。
たしかに、血は繋がっていたとしても、親と子どもは別人だ。親とすべてが一致するのなら、それこそクローン人間になってしまう。ただ、司は「親父みたいになりたくない…」と思うあまり、「もし、そうなってしまったらどうしよう」と不安になってしまったのだろう。