恩返しならぬ恩送り
「あなたも、ここでしばらくお日様に干されたら、塩梅良くなるんじゃないかしら」そう言いながら、鈴は干し柿を渡してくれた。つまり、司にとって干し柿は大切なアイテム…というわけだ。そんな干し柿を、今度は司がさとこにプレゼントしてあげた。まさに、恩返しならぬ恩送りだ。
体調が良くないとき、人に優しくしてもらうと「申し訳ない」と思ってしまうことがある。「わたしばっかり優しさをもらっちゃって、ごめんね」と。でも、『しあわせは食べて寝て待て』を見ていると、「いつか元気になったときに、この優しさを返すぞ!」というふうにプラスの思考ができるようになってくる。
今まで、自分の生活を守ることでいっぱいいっぱいになっていたさとこも、ちょっとずつ周囲に優しさを与えられるようになってきた。これは、大きな前進だと思う。
副業でレンタルルームを始めたときに出会った高校生・弓(中山ひなの)を助けてあげたいと思ったのも、さとこがしんどい時期を乗り越えてきたからこそ。「外から見てるだけじゃ、分からないこともある」「弓ちゃんの悩みは、弓ちゃんにしか分からないですし」と言いながら、彼女のことが心配でたまらないから、近くで見守ってあげようと思ったのだろう。