放送前には不安もあったが…なぜ『最後から二番目の恋』11年ぶりの続編は成功したのか? 魅力を徹底考察&感想レビュー【ネタバレ】

text by 阿部早苗

ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が現在放送中。前作から11年、小泉今日子&中井貴一が演じる吉野千明と長倉和平の2人からは、年齢を重ねたからこそ生まれる深みとリアルの重みを感じさせる。今回は、長年にわたり支持を集める本作の魅力を紐解く。(文・阿部早苗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

名作ドラマが11年の時を経て“月9”へ帰ってきた

『続・続・最後から二番目の恋』第2話 ©フジテレビ
『続・続・最後から二番目の恋』第2話 ©フジテレビ

「大人だって、みんなさみしい――」

 大人になると、「寂しい」というひと言さえ、なかなか口に出せなくなる。つらいことがあっても誰にも言えず、ただ日々を懸命に生きるしかない。どんなに何かで気を紛らわせても、心にぽっかりと空いた空虚感は埋まらない。

 その虚ろさが、ふとした瞬間にふいに顔を出す。だからこそ、自分と重なるような登場人物が描かれるドラマは、どんな時代にも必要とされているのではないだろうか。

 そんな“心のすき間”にそっと寄り添うような登場人物たちの人生や恋愛観を描く『続・続・最後から二番目の恋』。待望の第3期が、11年ぶりに“続々編”として復活した。

 第1期は2012年にスタートし、放送当時から高視聴率を記録。2014年には第2期が放送され、そこで物語は完結したかに思われた。しかし今回、なんと11年の歳月を経て、まさかの続編が制作されることに。しかも、かつて木曜22時枠だった放送枠を、フジテレビの“月9”へと移しての登場だ。

 かつて“月9”といえば、日本中を夢中にさせた恋愛ドラマの代名詞とも言える存在だった。だが近年はその絶対的な影響力にも陰りが見えはじめ、2024年放送の『海のはじまり』や、2025年の『119 エマージェンシーコール』といった社会派作品が新たな支持を集めている。

 その中で、果たして11年前の作品が現代の視聴者に受け入れられるのか――そんな不安がよぎったのも事実だ。第1期の放送当時10歳だった子どもは、すでに成人を迎えている。それほどの時間が経っているのだ。

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