梵天(荒川良々)に響いた朱羅(松本若菜)の言葉

『Dr.アシュラ』第3話©フジテレビ
『Dr.アシュラ』第3話©フジテレビ

 救急科や多聞を陥れようとしていた梵天には、もちろん最後にツケが回ってきた。視察に来ていた世界的CEOであるスティーブ・フィンク(厚切りジェイソン)が、悪性心臓腫瘍により倒れてしまう。成功率を99%にするため、リスクの低い手術ばかりをより抜いてきた梵天は、難易度が高い手術を前に手の震えが止まらない。

 朱羅の修羅場が「命と向き合う最前線」であるのに対し、梵天にとっての修羅場は「秀才ばかりの家族のもとに生まれたプレッシャー」だった。自分を守ることだけに命懸けだった梵天の心は、やがて朱羅の「やらなかったことを後悔して生きていく方が怖いから」という言葉に火をつけられていく。

 99%にとどまる梵天に必要なのは、多聞に勝つことではなく、“保身”を捨てること。そのことに気づいた梵天が、自ら朱羅と患者がいる修羅場へと足を踏み入れていく姿は、医者として、とても頼もしいものだった。

 金と権力がうごめく気の抜けないシーンが多いなか、救急科科長を降ろされても「ヒラとして頑張ります!」と爽やかに言ってのけた大黒修二(田辺誠一)の改心っぷりに、なんだか救われた。凄惨な過去を持つ朱羅の心も、彼らと関わるなかで少しずつ和らいでいけばいいのだけれど…。はたして次は、どんな修羅場が待ち受けているのだろうか。

(文・西本沙織)

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【了】

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