ユーミンの楽曲が2人の逃避行を彩る
そんな2人の束の間の逃避行を彩るのは、松任谷由実が書き下ろしたOST「岩礁のきらめき」だ。OSTとは「Original Sound Track」の略称。韓国では単なるBGMではなく、登場人物の心情や情景を表現するドラマや映画に欠かせない音楽として認識されている。
「あれはどんな夏だったんだろう?」という歌い出しは、第1話冒頭で被告人席に立ったあやめが呟く「あれは何のためにおかした罪だったんだろう?」という台詞を彷彿とさせるものだ。
おそらく同曲は1年後、何らかの罪で逮捕されたあやめの視点から描かれたものなのだろう。ポップなサウンドの中にどこか感傷的なムード漂う、ユーミンらしいラブソングで、すでに終わってしまった恋を思わせる。
幸せになれないことは最初から決まっていたようなものだ。なぜなら、凍也は夏音(北香那)という妻がいる既婚者だから。しかし、2人は一度ならず、二度目のベッドインを果たす。もう一夜限りの過ちとして片付けることはできない。
弁護士のあやめは不倫が大きな代償を伴うものであることをよく理解しているはず。それでも抗えないほどの魅力が凍也にあると言ってしまえばそれまでだが、あやめにとっては復讐の意味もそこには含まれているのではないだろうか。