舞台が昭和11年だからこその面白さ
近年、多様性や女性の社会進出を描いた作品が多い…というか、そういったものが支持される世の中になっている。そのため、恋愛ドラマのヒロインも、男性に甘えながら生きるというよりは、自分の夢に向かって邁進していたり。
どちらかというと、男性を引っ張るようなキャラクターが増えてきた。「男だから、こうしなきゃいけない」「女だから、これをしてはいけない」などということをなくそうね〜という感じのメッセージを込めた作品も、多く存在する。
そんな今だからこそ、『波うららかに、めおと日和』のようなかつてのスタンダードな夫婦が登場する作品は、気楽に見られていい。正直、食事のときも男性は一切動かずに新聞を読んでいたり、女性だけがセカセカと動いていたりするシーンを見ていると、「あれっ、これ炎上してしまうのでは」と不安になることもある。
はる江(森カンナ)が「妻は夫を支えるもので、夫に甘えるものではないわ」と言ったときも、「これ、時代錯誤と言われてしまうのでは…?」とハラハラした。しかし、瞬時に「そうだ。これは、昭和11年の話だからいいのか」とホッとする。このドラマを見ていると、男女平等が推進されるあまり、センサーが過敏になっていたことに気づかされる。