報道マンと父親を両立する難しさ
今話のメイントピックとして描かれていたのは、報道に携わる人々と家族の関係性について。これまであまり良いところがなかった海馬は、娘を想う父親としての素顔を見せる。
しかし、リアルタイムに刻々と状況が変化する報道の現場に立つ人間は、定期的な学校の行事やイベントに参加することは難しいのだろう。海馬の娘・灯里(竹下優名)もまた、家庭をあまり顧みない父親には不安を打ち明けることができず、知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれてしまう。
海馬自身も公私混同と思われても仕方のない言動を繰り返しており、報道マンとしての姿と父親としての姿を両立する難しさが描かれていた。
一方で、進藤と娘のすみれの確執には、キャスターの仕事以外にも原因があるようだ。進藤の元妻であり、すみれの母親でもある恭子(相築あきこ)が通り魔によって刺される衝撃的な場面が回想シーンでは映し出されており、この事件が進藤とすみれの間に大きな溝を作り出したことは間違いない。
もしかすると進藤は、家族ではなく報道マンとしての仕事を優先したのではないだろうか。それならば、彼らの不和にも納得がいく。
実際は、仕事と家庭のどちらを選択するかに明確な正解などないのかもしれない。それでも、海馬が幼い灯里に告げた「毎日、ニュースを放送したあと、ほんのちょっと社会が良くなることを信じているんだ」というセリフこそ、報道に携わる人間の心の声を代弁するものだと思えた。