『MIU404』など人気ドラマでも描かれた社会問題
本エピソードでは、近年放送されたドラマ『MIU404』(TBS系、2020)や『東京サラダボウル』(NHK総合、2024)でも扱われていた技能実習制度の実態と現場で起きているトラブルが赤裸々に描かれていた。
現代において技能実習生は技術の修得が目的ではなく、労働者不足の穴埋めとして働かされている実情がある。社会問題となりつつある「労働力の搾取」や「時間外労働」は、いまだに根深く日本の労働環境にはびこっており、それは二見水産加工でも常習的に行われていた。
2024年から「技能実習制度」は「育成就労制度」と名前を変えたが、実態が伴わなければ名称の変更はほとんど意味をなさない。告発する恐れのない弱い立場の存在として外国人労働者を扱うのではなく、相互が対等な関係性で働く環境や制度を整備することがこれからの課題となるだろう。
労働中の事故であれば、技能実習生であろうと労災の申請は可能。もちろん、安全配慮義務を会社が怠っていたのであれば、会社に対して訴えを起こすこともできる。宇崎と伊野尾が示した道筋は、クオンだけでなくほかの実習生たちにも希望の火を灯したのだった。